見た目がほとんど同じなのに、価格に大きな差がついているジュエリーを見たことはありませんか?
これは、ジュエリーに使用されている金属の素材によって生まれた差であることが多いです。
そこで今回は、ジュエリーに使われる素材について解説していきます。
併せて、ジュエリーの素材の判別方法やよくある疑問もご紹介します。
それではご覧ください!
目次
1.素材が分からないと起こる2大トラブル
「ジュエリーの素材なんて知らなくても大丈夫!」と思っているあなた!
実は使用されている素材を知らないと、困ったトラブルが起きてしまう可能性があるのです。
代表的なトラブルには、以下のようなものが挙げられます。
1-1.手入れ方法を間違える
そのジュエリーに使われている素材を知らないということは、そのジュエリーの特性を知らないということになります。
例えば、傷が付きやすい素材で出来たジュエリーなのに、ジュエリークロスでゴシゴシ拭いてしまうと沢山の傷が付いてしまいますよね。
ジュエリーに使われている素材を知らないと、ジュエリーを傷めてしまう原因になります。
ジュエリーの素材を理解しておくことが、ジュエリーを美しい状態でより長く使うための秘訣です。
1-2.金属アレルギーなどを起こす危険性がある
ジュエリーの素材を知らずに着けていたら、金属アレルギーを引き起こしていしまったとうこともあります。
ジュエリーに使われる素材の中には、アレルギー反応を引き起こしやすいものもあります。
今は金属アレルギーを持っていないという方も、これからアレルギー反応を引き起こさないために注意しておくと良いでしょう。
ジュエリーの素材を正しく知っていることは、安全にジュエリーを楽しむことにも繋がります。
2.素材ごとの特徴とメリット・デメリット
ジュエリーの素材についてしっかりと知っておいた方がいいということはお分かりいただけましたね。
それではここから、ジュエリーに使われる代表的な5つの素材について見ていきましょう。
その素材のメリットとデメリットも併せてご紹介します。
お手持ちのジュエリーの素材をチェックしてみるだけでなく、今後のジュエリー選びの際の参考にして頂けると嬉しいです。
①ゴールド
歴史が長く、ハイジュエリーの素材として一般的なゴールド。
ゴールドは圧力がかかると平面に広く伸びていく展延性(てんえんせい)に富んだ素材です。
そのため、繊細なデザインも美しく形づくることが出来ます。
純金のままではジュエリーにするのに柔らかすぎるため、強度を高めるために他の金属を混ぜて金の含有量を75%にしたK18が多くみられます。
純金はアレルギー反応が起こりにくいですが、この時混ぜられる他の金属によっては、金属アレルギーが出てしまうこともあるので注意が必要です。
しかし、他の金属が混ぜられることにメリットもあります。
混ぜる他の金属の割合によって、金の色味を変化させることが出来るのです。
代表的な色味はホワイトゴールド(WG)やピンクゴールド(PG)、珍しいものにはパープルゴールドなどの種類もあります。
【メリット】
・アレルギー反応が起こりにくい
※混ぜられた他の金属によっては反応が出る可能性がある
・カラーバリエーションが豊富
・繊細なデザインが可能
【デメリット】
・価格が高め
②シルバー
他の素材に比べてリーズナブルな素材であるシルバー。
女性向けのジュエリーはもちろん、ボリューム感のあるメンズジュエリーも素敵に仕上がります。
シルバーは光の反射率が高いため、研摩することによって強く輝いて見えます。
一般的に販売されているシルバージュエリーは、SV925というシルバーの含有率が92.5%になったものが多いです。
これは、純銀のままでは柔らかすぎて傷が付きやすいため、他の金属を混ぜることで硬度を上げるためです。
シルバーも純銀の場合はアレルギー反応が起こりにくいですが、この時混ぜられる他の金属によっては、金属アレルギーが出てしまうこともあるので注意が必要です。
また、シルバージュエリーを扱う上で注意しておきたいのが変色。
シルバーは、硫黄に反応して硫化することで変色するため、空気に触れているだけでも変色が起こりやすいのです。
この硫化を利用して部分的に色味を変化させる燻し(いぶし)という仕上げ方法もありますが、銀色の状態で使いたいならば専用のクロスで拭くなどの定期的なお手入れが必要です。
しばらく使わないシルバージュエリーはジップ袋に入れておくと変色を防止できます。
硫黄が多く含まれる温泉などに入るとシルバージュエリーが真っ黒になってしまいますので、こちらも気を付けましょう。
【メリット】
・比較的リーズナブル
・男性でも取り入れやすい
・光を良く反射するため、綺麗に輝く
・アレルギー反応が起こりにくい
※混ぜられた他の金属によっては反応が出る可能性がある
【デメリット】
・変色が起こりやすく、定期的なお手入れが必要
③プラチナ
結婚指輪の素材として王道の素材であるプラチナ。
銀白色とも呼ばれる明るい白さが特徴で、産出地域が限られることから稀少価値が高いため値段が張ることが多いです。
他の素材に比べて比重が高いため、しっかりとした重さがあります。
非常に柔らかく、繊細なデザインを表現するのに向いています。
しかしその反面、純度が高いと硬度が低すぎて変形したりキズがついたりしやすいという特徴もあります。
そのため、強度を高めるために、パラジウムなどの他の金属を混ぜてプラチナの含有量を95%や90%にしたPt950やPt900が主流となっています。
酸やアルカリに強く、さびなども出にくいという特徴を持つプラチナ。
購入してから年月が経っても、美しい輝きが保たれやすい素材です。
簡単なお手入れだけでも、美しい輝きを保つことが出来ます。
【メリット】
・特有の美しい光沢がある
・繊細なデザインが可能
・優れた耐久性を持ち、時間が経っても劣化しにくい
・お手入れが簡単で済む
【デメリット】
・希少性が高いため、値段が張る
・純度が高いと傷が付いたり変形したりすることがある
・重さがある
④チタン
スポーツ用品やメガネのフレームなどの身近な道具にも多く使用されている、高価で高品質なチタン。
水や汗などにも強いタフさとその軽さが人気の素材です。
また、金属アレルギーが起きにくいのもメリットとして挙げられます。
加工の仕方によって、艶消しにしたり鏡面仕上げにしたりと見た目に変化を付けることができます。
また、通常は黒っぽい色をしていますが、熱加工によって様々な色に発色させることもできます。
ただし、硬度が高いため、指輪の場合はサイズ直しなどの加工が困難な場合があります。
【メリット】
・水や汗に強いため錆びにくく、お手入れが簡単
・金属アレルギーが起こりにくい
・軽量で軽い着け心地
・見た目に変化をつけやすい
【デメリット】
・指輪の場合はサイズ直しが難しいことがある
⑤ステンレス
一般的に使用されるステンレスは、鉄にクロムやニッケルを混ぜて作られています。
台所用品などでよく聞くステンレスは、何と言っても耐久性に優れています。
ステンレスとは「stainless steel」の略で、「stainless」には「錆びない」という意味があります。
この名前からも分かるように、使っていても錆びにくく、お手入れも簡単に済ませることが出来る素材です。
また、医療現場でも使われるほどの安全性を誇り、金属アレルギーの心配がほぼありません。
加えて値段もリーズナブルで、魅力が沢山ある素材です。
ただし、指輪の場合はサイズ直しなどの加工が難しく、お店によっては断られてしまうこともあるため要注意です。
また、複雑で柔らかい曲線的なデザインを作り出すことが難しい素材です。
【メリット】
・耐久性に優れている
・錆びにくく、お手入れが簡単
・金属アレルギーが起こりにくい
・リーズナブル
【デメリット】
・指輪の場合は、サイズ直しなどの加工が難しいことがある
・複雑で曲線的なデザインが苦手
⑥真鍮
銅と亜鉛の合金で、黄銅(おうどう)とも言われます。
加工性が高く様々なデザインに対応できることに加えてリーズナブルであるため、ファッションジュエリーに多く用いられる素材です。
黄土色に近いような温かみのある色合いが特徴ですが、金属の配合や加熱の具合によって色を変化させることが可能です。
変色防止効果も兼ねて上からメッキを施して、シルバーカラーなどにしていることもあります。
ジュエリーには、使用されている素材が分かるように刻印が施されていることが多いですが、真鍮の場合は刻印が無いことが多いです。
真鍮ははじめは金色ですが、使っている内に黒っぽく変色していきます。
アンティーク風のデザインや色味がお好みの方にはおすすめの素材です。
真鍮は銅を多く含んでいるため、緑青(ろくしょう)と呼ばれる青緑色のサビが表出してくることもあります。
メッキなどが施されていないと、この緑青が原因でアレルギー反応が起こってしまうこともあるため、気になる場合は定期的なお手入れをしましょう。
【メリット】
・リーズナブル
・幅広いデザインに対応できる
・様々な色味を再現できる
【デメリット】
・変色しやすい
・緑青(ろくしょう)と呼ばれるサビが出ることがある
3.素材の判別方法
ジュエリーに使用される代表的な素材については、お分かりいただけましたね。
では、そのジュエリーがどんな素材でできているのかどうやって見分ければいいのでしょうか。
もっとも一般的な方法は、ジュエリーに刻まれた刻印を確認することです。
この記事でご紹介した5つの素材は、以下のような刻印で記されます。
※刻印に含まれる数字は、その金属の含有量によって変化します。
- ゴールド:K18、750など
- シルバー:SV925、925、SILVER、SV、など
- プラチナ:Pt900など
- チタン:Ti、Titaniumなど
- ステンレス:316L、Stainless Steelなど
刻印の入っている場所は、ジュエリーの種類によって異なります。
また、同じ内容を示す刻印でも、表記の仕方は様々です。
ジュエリーの刻印については以下の記事で詳しくご紹介していますので、参考にしてみてください。
4.間違えないで!3つの”違い”
ここまでお読みいただいて、ジュエリーの素材についてかなり詳しくなれましたね。
しかし、ジュエリーの素材には知識が混同しやすいいくつかの「違い」があります。
ここでは最後に、ジュエリーの素材について間違えやすい3つの違いについてご紹介します。
知っておくと、ジュエリー選びが今までよりもスムーズになるかもしれませんよ!
4-1.K24とK18金の違いは?
K24とK18は、どちらもゴールドの含有率を示しています。
純金=ゴールドの含有率100%の状態は柔らかく加工に向かないため、ゴールド以外の金属(銅、銀、パラジウムなど)を混ぜて加工できる硬さに調整されています。
K24やK18は、24を100%として考える24分率を使ってゴールドの含有量を示しています。
24分率は24を100%として考えるため、K24=金の含有率100%(純金)、K18=金の含有率75%ということになります。
K10などの表記も同様に金の含有率を示しています。
ゴールド以外のシルバーやプラチナなどの素材は、1000を100%として考える千分率を使われるため、区別が必要です。
4-2.ホワイトゴールドとプラチナの違いは?
この二つの素材は、確かに似たイメージがありますがそれぞれ色味に特徴があります。
プラチナは、もともと白色に近い色味の素材です。
一方ホワイトゴールドは、純金(金色)に他の素材を混ぜることで白っぽい色味にしています。
さらにその上に銀白色のロジウムでコーティングを施すことでより白に近い輝きを生み出しているのです。
プラチナは耐久性に優れているため日常使いしやすいのがメリット、純度が高いと強度が低くなってしまうことなどがデメリットとして挙げられます。
ホワイトゴールドは、一般的にプラチナよりも強度が高い場合が多いのがメリット、時間が経つとコーティングが薄くなってしまうことなどがデメリットとして挙げられます。
4-3.K18製とK18メッキの違いは?
K18製のジュエリーは、ゴールドでできたジュエリーです。
しかし、K18メッキは少し違います。
K18メッキのジュエリーは、ジュエリーそのものはシルバーなどの別の素材でできています。
その上からK18でメッキ=表面のみをコーティングしているのです。
そのため、ジュエリーそのものがゴールドでできているK18製ジュエリーよりも、金の使用量が少ないK18メッキのジュエリーの方がリーズナブルです。
製造過程は双方で大きく異なりますが、見た目だけでどちらかを判別するのは難しいです。
おわりに
いかがだったでしょうか。
この記事でジュエリーの素材のことを良く知って、今後のジュエリー選びの参考にしてみましょう!
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