ジュエリーに美しく鮮やかな彩りを添えてくれる宝石。
カラフルな宝石は、いつの時代も憧れの対象ですよね。
でも、そもそも宝石って何なのでしょうか。
実は、宝石になるためにはある条件があるんです。
今回は、宝石になるための条件や、宝石にはどんな種類があるのかなどについて詳しくご紹介します。
それではご覧ください!
目次
1.日本の宝石の定義
宝石とは、数ある鉱物の中でも一定の条件を満たしたもののみに許される呼び名です。
日本国内では、日本ジュエリー協会(JJA)と宝石鑑別団体協議会(A.G.L)によって設けられた条件に沿って宝石か否かが判断されます。
鉱物の中から宝石を選び取るために、条件が設定されているんです。
鉱物の種類は約4700種類あると言われていますが、宝石はその中の約130種類程度と非常に少ないです。
その中でジュエリーに使われるのは、約50~70種類程度と言われています。
2.宝石になるための3つの条件
宝石とは、一定の条件を満たしたもののみに許される呼び名とご紹介しましたが、この条件とはどんなものなのでしょうか。
ここでは、宝石と認められるための3つの条件をご紹介します。
2-1.美しさ
宝石と言えば美しいというイメージがありますよね。
それはそもそも美しさが宝石の条件になっているからなんです。
美しさの判断は色や透明度、光沢など、様々な基準をもとに行われます。
2-2.希少性
宝石は採れる量が限られていて、手に入りにくいというところが重要!
産出量や産地が限られていて貴重だからこそ価値が高まります。
道端に落ちている石が宝石と呼ばれないのは、この希少性が関係しているからなんです。
2-3.耐久性
一定の耐久性があるものでないと、宝石とは呼べません。
長く使い続けても、その美しさが保たれるかどうかが大切とされているからです。
耐久性の一つの指標となるのが硬度です。
どれくらいキズが付きにくいかを示すモース硬度が基準とされており、全部で10段階で硬度が示されます。
例外もありますが、クォーツ(石英)の硬さと同じモース硬度7が宝石の柔らかさの下限とされています。
3.宝石の種類
宝石は、生成の仕方によって種類分けすることが出来ます。
大きく5つの種類に分類され、どれも「○○宝石」と呼ばれています。
ぜひ、5つの宝石の種類とその特徴を覚えてみましょう。
3-1.天然宝石
形を整えるための研磨やカットの作業以外に人の手による操作が行われていない宝石のことを指します。
最低限の加工以外は行われていない宝石のことなんですね。
日本国内においては、天然宝石のみを正式な宝石と認めるという定義が設けられています。
3-2.処理宝石
見た目の改良などの人工的な処理が行われた天然宝石のこと。
この時行われる処理には、エンハンスメント処理とトリートメント処理の大きく2種類があります。
宝石が持つ本来の美しさを引き出すためのエンハンスメント処理は、熱を加えて黒ずみや青みを飛ばす加熱処理などが代表的です。
一方トリートメント処理では、変色や脱色などのより大幅な改良を行います。
人の手が加えられていますが、日本国内ではこれらも宝石と認められています。
ただし、処理の度合いが大きいトリートメント処理が施された宝石は、見た目は美しくなりますが、天然の状態からは離れていきます。
そのため、宝石としての価値が下がってしまうことがあります。
3-3.人工宝石(合成宝石)
天然宝石と同じ成分を使って、人の手によって作られた宝石のこと。
基本的には天然宝石と同じ構造を持つため、特徴や見た目も天然宝石ととても似ています。
パッと見ただけでは、天然宝石と見分けるのは難しいでしょう。
何年もの歳月をかけて生み出される天然宝石と違い、人工宝石は数日で出来上がることもあります。
化学成分や内部構造などは天然宝石と同じですが、正式な宝石とは認められていません。
人工宝石ではほとんどの宝石を作ることが出来ますが、トパーズとトルマリンは作ることが出来ません。
3-4.人造宝石
1つ前にご紹介した人工宝石と似ていますが、少し違いがあります。
こちらも人の手によって作られた宝石ですが、天然宝石とは異なる成分・構造からできています。
自然界には存在しない組成で出来ているのです。
人の手によって作られたものであるため、正式な宝石とは認められていません。
3-5.模造宝石
ガラスやプラスチック、陶器などを使って天然宝石に似せて作られた宝石のことで、「イミテーション」とも呼ばれます。
現代ではスワロフスキーやキュービックジルコニアなどが代表的な例です。
100年以上前に作られたアンティークジュエリーの中にも、スチールを研磨して宝石のような輝きを持たせたカットスチールというものが存在しました。
宝石の代替品として古くから楽しまれていたんですね。
模造宝石は、天然宝石に似せて作られた模造品であるため、正式な宝石とは認められていません。
【番外編】無機宝石/有機宝石
これまでご紹介した宝石の種類と少し違った分類として、無機宝石と有機宝石があります。
無機宝石は、マグマが冷え固まるなどの地質学的な出来事やプロセスから生まれた宝石です。
ほとんどの宝石はこの無機宝石に分類されます。
一方有機宝石は、真珠やサンゴなどのように生物の活動の中で生まれた宝石を指します。
有機宝石の代表である真珠については、こちらの記事で詳しくご紹介しています。
4.知っておきたい「五大宝石」
宝石の種類についてはお分かりいただけましたね。
ご紹介したような分類とは別に、「五大宝石」というものがあるのをご存じですか?
ダイヤモンド・サファイア・ルビー・エメラルド・アレキサンドライトの5つの宝石を指してこう呼ばれています。
これらは天然宝石の中でも価値が高いと認められている「貴石」に属する宝石です。
希少性の高い宝石の中でも、更に価値があると認められているんですね。
ここでは最後に、そんな五大宝石について少しご紹介します。
①ダイヤモンド
宝石の代表と言っても過言ではないダイヤモンド。
無色透明のものが希少とされていて、強い輝きが特徴です。
地球上で一番硬い宝石であるため、カットを施すには高い技術が必要になります。
ダイヤモンドの価値は、「4C」という独自の基準によって判断されます。
この4Cは、カラット(重さ)、カラー、カット、クラリティー(透明度)の頭文字から取られています。
②ルビー
「宝石の女王」と呼ばれるルビーも五大宝石の一つです。
昔から勝利を呼び寄せる石として権力の象徴ともされていた、風格のある宝石です。
ルビーの中でも最高峰と言われているのが、鮮やかな赤色の「ピジョンブラッド」。
色合いや透明度など、様々な要素が類を見ないほど素晴らしいとされています。
③サファイア
実はルビーと同じコランダムという鉱物であるサファイア。
コランダムの中でも赤色以外は全てサファイアに分類されるため、カラーバリエーションが豊富な宝石と言えます。
かつてのヨーロッパでは、聖職者や高位の人に身に着けられることが多かった宝石です。
サファイアの中でも深い青色の「コーンフラワー(矢車菊)」が最高峰と言われていますが、非常に珍しくめったに見ることは出来ません。
④エメラルド
透明度が高く色味が濃い程価値があるとされるエメラルド。
クレオパトラも愛用したと言われており、エジプトにはクレオパトラ鉱山跡も発見されています。
地中深くの過酷な条件下で生まれるエメラルドは、多くの場合、内包物が見られます。
内包物を目立たなくするために、含浸処理という処理が施されることがほどんどです。
この処理が施されなくても美しいエメラルドは珍しく、高価で取引されます。
⑤アレキサンドライト
光源によって色味が変化する不思議な宝石です。
この現象は光学効果と呼ばれ、太陽光下では青緑~青紫色、人工光の下では赤~赤紫色に変化します。
この特徴から「昼のエメラルド、夜のルビー」とも言われます。
※5つ目の宝石は国によって違いがあるため、翡翠や真珠が入ることもあります。
おわりに
いかがだったでしょうか。
宝石は見るだけでも楽しいですが、知識をもって見ることで、よりその魅力や価値を実感することが出来ます。
ジュエリーを見たり選んだりする時には、ぜひこの記事を思い返してみて下さい!
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最後までお読みいただき、誠にありがとうございました。